後輩の6段審査…反省会の結論は「ぼくはまだ4段!」
29歳の後輩が昨年の11月に6段審査を受けましたが、結果は残念…。
その後輩は警察官でしっかり剣道をやっているのですが、やはり段位=強さではなく、正しい剣道というか理合いを意識した剣道をしているのか、にかかっているようです。
私も5段審査に2回落ちた経験があります。
なので昇段審査で不合格って死っっっんでもいやだという気持ちはわかります。しかし、段位を頂くとはどういうことなのか。そのあたりを2人で緊急井戸端会議を開催して考えていました。
昇段審査は正解が無いから怖い。
「培った理合いを見せてくれれば合格ですよ」という話だと思うのですが、理合いは状況に応じて変わるので100回やって100回表現できるものではないから怖いんですよね。勉強と違い、解答ではなく回答を作らないといけない。
まして「打たなくても合格」という事例もあるそうですから、いったいどうすれば良いんだ、と。
むしろ段位をもらってから本当の段位にしていく
仲間内でも「段位=強さ」ではないという認識でいますし「段位=正しい剣道」ではないのでは、とも話になります。
実際「おれ、切り返しがヘリコプター(※)なのに審査合格したわ(汗)」という実業団大会の入賞者もいますし「抜き胴ってどうやって打つの?」という全日本予選の入賞者もいます。取得してから悩む人も多いということなんですよね。
(※)ヘリコプターとは、切り返しをヘリのプロペラのように真横に振っているNGな切り返しのことです
じゃあ逆に「段位をもらってからその段位に見合う剣道家になる」と考えたらどうだろう、と。
例えば、通常は4段に合格=きっちり4段の実力ですが、4段に合格=3年かけてきっちり4段の実力にしていく、ということです。合格してからがスタート。
そうして5段審査の時に4段としての素養をきっちり身につけていれば「あ、4段じゃ物足りなさそうだね。じゃあ次の宿題は4年かけて5段の実力を身につけようか」というわけです。
いわば段位の前借りです。
人間、モノを返す時は力が入るもの。企業が全盛期の時は社員に「車買いなよ!家買いなよ!」と借金をさせることで働く原動力にしていた、と聞いたことがあります。考え方はコレに近いです。
剣道は終わりなき旅路ぞ
段位の前借りということは「これからも勉強しなさいよ」ということです。
いつも疑問だったのですが、一般的な剣道家は7段を取得したあと8段審査を受審する人はあまりみかけません。
疑問は8段に挑戦しないことではなくて「剣道の目的をどこに定めているのだろう」と。
ヘンな意味ではないですよ、これまでは「7段に合格する!」という気持ちで稽古をしていて、で7段に合格した。じゃあ次は…?
7段=7段の実力だと剣道から与えられた宿題はそこで終わりなので、その先の目標は自分で作らなけれいけません。段位を目指すのと同じくらいの原動力と自分が変わるきっかけをどこに見出せば良いんだろう、と感じるんです。
もちろん「剣道自体が楽しいから続けている」と思うのですが剣道を嗜んでいる方って「答えのない問題に永遠と挑戦する楽しさ」を知っている自己研鑽が好きな方だと思うんです。
剣道を学ぶ限り、その難問に挑み続けたい。その方が燃える人て多いと思うんです。その究極が8段審査。段位の最終目標をどこに設定したとしても、まさに生涯剣道。
7段に合格したら最低でも10年かけないと8段を受審できない=7段の素養を身につけるのに10年かかるわけです。60歳で7段取得しても、最低でも70歳までの宿題を頂けるという意味になります。
こういう考え方の方が剣道らしいなぁ、と思っています。
剣道を学ぶ=剣道を教える
一般的には「4段合格=4段の実力」という解釈なので、今回のことを高段者の方に話せば怒られると思います。あくまで気持ちの持ちようと考え方の話になります。
個人的には剣道を学ぶということは剣道を教えることと同義だと考えます。
ただ教えるではなく相手に伝わるように教えるというところですね。尊敬している剣道の先生が複数いらっしゃいますが、その方々の共通点として普段から相手に伝わるように鍛錬されているんだな、という印象を受けることです。そういふものに、わたしはなりたい。
ちなみに冒頭の29歳の後輩は「まあ、確かに攻めって言われても感覚でしかわからないし、後輩に求められたらきついすね。きっちり5段じゃないということは、むしろまだ4段ですね!」と多少スッキリしていた感じでした。
後輩の彼がこれから最短で7段を取得しても35歳。そんなに急いで人生の宿題をこなす必要も無いですしね!
PS
後輩とそんな結論になったのですが「先輩、教育業界で働いてるからか宿題とか学ぶとか教育ぽいすよね!」と言われました。教育業界で予備校の運営をしていたり、マーケティングをしていたのですが、剣道で培った考えが自然と仕事にも活かされてるのかな、と感じた瞬間でした☆