井戸端剣道会議

~雑談から居酒屋でのマジ話まで~

剣道の地稽古で「本気を出せる人」てどんな人?

わたしの道場の御意見番が教士8段ということもあり、色々な道場から参加されることが多いです。

 

中には御意見番の直弟子の方々も来られます。

直弟子の方々は剣道と向き合った人生を歩まれた方々。それくらい時間をかけてこられた方々なので体捌きや竹刀操作は教科書のように美しいです。

 

ただ一点だけ、偏見御免ですが気になるのは「気を抜いた稽古」をされているように感じてしまうこと。

 

 

地稽古は「手は抜いても気は抜くな」

手を抜くとは。

極端な話、地稽古で身長180㎝のたしが150㎝の中学生女子相手に常に仕掛け続けて打ち込んでいくというのは一方通行な剣道に見えます。こういう意味では手は抜かないといけないと考えます。

 

決してこれ見よがしに面を打たせて「いやー参った(笑)」という意味の手の抜き方ではないです。これも双方の為にならない。

 

 

気を抜くとは。

剣道は「発声も練習」というくらい気合の充実が不可欠ですが「オ~メェ~ン⇘」「オ~ドォ~⇘」のような残心。

に、加えて「オ~ドォ~⇘」のあとはすぐに構えず「参ったか」と言わんばかりの仁王立ち。かかる側からするとこういう点にはすごい敏感で目につくんですよね。

 

※⇘は語尾が下がっています

 

 

 

気を抜くとはどういうことか

どうしてそれが気を抜いていると言えるのか。

まず「オ~ドォ~⇘」の後の仁王立ちは審査や試合では絶対にやらないはずです(小学生で一本だと思い違いをして逆に一本取られるところは見かけますが…)。

 

 

あくまで地稽古は一本を取ることではなくて何分経っても気持ちを切らさない練習なのであって、有効打突(ぽい)のが出たら開始線に戻って仕切り直しをされてもちょっと困っちゃいます…。

 

そしてもう一つ。

10年近く直弟子の方々を見ていますが師匠にあたる御意見番に稽古をお願いするのを見かけても絶っっ対に「オ~メェ~ン⇘」のような発声はしていないんですね。

 

これはつまり、穿った見方かもしれませんが変な意味で相手を見て剣道を変えているように感じるんです。

本来、お願いされるからと言って「やってあげても良いよ」ということにはならないはずであり、誰のための稽古なのか、というのが不在のように見えてしまいます。

 

…と人のことをあまり言いたくないので引き合いに出すのはここまでにしますが、つまり、審査や試合など大事な場面で同じ行動をとるのかどうか。

まさに”気”を付けないといけないな、と感じます。

 

 

 

本気な人は打たせ上手

もちろん、直弟子の方の中にも本気を出してくれる人もいらっしゃいます。

そういう方の共通点としてどんな人と稽古をしても発声が変わらないと感じます。たとえ小学生相手であってもです。

 

それだけではなく、本気な人は打たせてくれたと気付かないくらい、自然と良いところを打たせてくれる人が多いとも感じます。

 

実際、自然に打たせることができるということは相手を自在に引き出せることにも繋がります。

 

これは気を抜いているわけではなく、気を調整できるという表現が正しいでしょうか。1の相手に100で勝つのでなく10で勝つイメージです。

これが出来れば難易度が高い応じ技も同じ理屈で成立しますからね。やはり双方の練習になっていると思います。

 

一見どこを打ち込んでも全て返されそうにしているけれど、ほんのわずかに剣先がゆるい気がする。怖いんだけど勇気をふり絞って踏み込んでみたけど、嫌な予感がするけどイケ〜〜!

と思って打ったら相面が取れちゃった。

 

実は↑のことは御意見番の教士8段のことなのですが、恐ろしいくらいに打たせ上手であるところに勉強させられます。まさに宮本武蔵

 

切り結ぶ 太刀の下こそ 地獄なれ
踏み込みゆけば あとは極楽

 

こういう環境を作れる人がいつでも本気になれる人であり、相手を引き出すことが上手い人だな、と感じます。

 

もちろん、打たせ上手は打つ機会を知ってますので、機会ではないところで打ち込んでも応じられてしまいます。

でないと、70歳が20歳の筋骨隆々男子と相面で打ち勝つ現象は起きないな、と解釈しています。

 

 

 

大人の本気は気の充実

剣道においての本気を出すというのは運動神経的な意味ではなく気の充実にあり、実は気の充実というのは相当な練習が必要なんだと思っています。

 

剣道は運動神経がさほど影響されないところが魅力の1つです。運動神経に個人差はあれど、老若男女で共通している気については抜いてはいけない。

 

共通だからこそ、抜かれた時に目に付きやすいのかな、と書きながら整理した次第です。

 

今週の土曜に久々に少年指導に当たります。

小学生に良いところで打たせてあげるのは非常に難しいのですが、どんな相手でも本気を出せることが自分の上達に繋がると信じて取り組んできます!